奈良の古代建築の楽しみ方【1】(古代木造建築の建て方編)

奈良には、現存する世界最古の木造建築物がある法隆寺を筆頭に、世界最大の木造建築物である東大寺大仏殿など世界的にも有名な建物が多い。

それらの建造物は、国宝や重要文化財に指定されているので、重要で素晴らしいということはわかるけど、どこをどう見たらいいの?という疑問を持ってる人も多いと思う。

古い・大きい・そして屋根の反りが美しい・バランスが良くて美しい、など見方はそれぞれだけど、それけではなく建物の構造などがわかれば、もっと楽しいとは思いませんか?

仏像を書いた本は多いけど、古代建築物の構造を書いた本は少ないので、「DEEPだぜ!!奈良は。」でそこを調べてみた。

では初めに、古代建築の建て方からスタートしたいと思う。

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1、基礎

今、横浜の大型マンションが傾くという事件がニュースとなっているが、1300年以上前から倒壊せず現存する建物はどういう建て方をしているのだろうか?

木造建築は、基本的に柱を立てないと建物はできない。柱を立てる一番簡単な方法は穴を掘って柱を埋める「掘立柱」である。

図のように柱が地中に埋まっているので柱一本でも倒れず、仕事が楽である。その反面、柱が腐りやすいのが欠点である。

また、大きくて重い建物になると柱が沈んで屋根や床が傾いてしまう。
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そこで、朝鮮半島から飛鳥時代に仏教建築とともに伝来した方法として、基壇を作り礎石を置き、その上に柱を立てる方法が始まった。ここで重要なのは、版築(はんちく)という基礎構造である。

版築は粘土や砂などを何層にも突き固めた古代工法で、非常に強固な地盤を作ることができる。

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(▲ 薬師寺東塔発掘調査による版築)

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(▲ 薬師寺東塔発掘調査による)

2、柱を立てる

礎石の上に柱を立てるわけでであるが、礎石は固定した状態となっているため柱の長さを完全に合わす必要がある。

そして、礎石面と柱の下部面を完全に一致させないとがたがたする。自然石なので、柱の底面を礎石にぴったり密着させるには相当の技術が必要である。

逆に、柱の底と自然石の底がぴったり合えば動かなくなる。この仕事を「石口拾い」といい石のでこぼこを、「おさ定規」により木の方にぴったり移す。

法輪寺の五重塔を建てた小川三夫氏によると、石口を拾えたかの検査は、自分で作業した柱を石の上に立てて、柱の上に立てれば合格。柱は何のささえもなくびくともしない、摩擦の力はすごいらしい。

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(▲ おさ定規 出典:竹中大工道具館)
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(▲ 法隆寺回廊)

3、柱を繋ぐ

柱が立ったら、柱と柱を繋ぐ。柱の頭部を切り込んで頭貫(かしらぬき)を落とすのが原則である。
また、長押(なげし)で柱を両側から挟む方法も使われている。
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(▲ 法隆寺回廊)

平安時代東大寺大仏殿の再建には、柱の中心に穴を開けそこに縦長の貫(ぬき)を通し楔で固める「大仏様(だいぶつよう)」が中国から輸入された。以降の日本建築の主流となった。構造的には、長押よりはるかに強力である。長押は、構造材から化粧材となった。

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4、屋根を懸ける

柱が結ばれると屋根を懸けることができる。屋根の最上部を棟といい、その下の棟木をささえるために、柱と柱の間に梁を渡す。そして、梁の上に又首(さす)・束(つか)などを立てて棟木を立てる。
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仏教建築では、二重紅梁蟇股(にじゅうこうりょうかえるまた)がよく用いられる。

ちなみに紅梁(こうりょう)とは、虹形に上方にそり返った梁。
蟇股とは、二つの横材の間におく束(つか)の一種で,上方の荷重をささえるとともに装飾ともなる。カエルが脚を広げた姿に似ているところからこの名がある。

蟇股が装飾的になった、日光東照宮の眠り猫は有名である。
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(▲ 日光東照宮の蟇股)

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5、庇を作る

梁に屋根の加重の大部分がかかるので、梁の長さは古代建築では2間(柱間2つ)が標準である。
建物の奥行きを大きくするためには、母屋に庇を付け庇を大きな一つの屋根で葺く方法をとるのが一般的である(上図参照)。

6、屋根を葺く

棟木と桁の間に垂木(たるき)を乗せ、屋根を葺く。
檜の樹皮を使った檜皮葺(ひわだぶき)・薄い板の杮葺(こけらぶき)・カヤや藁などの草葺(くさぶき)などであったが、寺院では瓦葺となってきた。

本瓦葺は、平瓦と丸瓦を交互に重ねた方法で、軒先の瓦には蓮などの文様で装飾を行う。
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7、軒を出す

軒が深い方が立派であるが、垂木は屋根の加重を受けるので、長く出すと垂れたり折れてしまう。
そのため垂木を支える、桁を軒先に出す必要がある。軒先に出された桁を丸桁(がぎょう)という。

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丸桁を出すために組物(斗栱-ときょう)が用いられた。組物は柱の上にだけ置かれ、てこの原理を利用して荷重が柱にかかるように工夫されている。

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(▲ 東大寺大仏殿の組物)

大仏様は柱の途中に肘木を挿す挿肘木(さしひじき)に特徴がある。

基本的な古代建築の建て方はこのようになる。基本的な構造がわかれば、建物鑑賞の巾が広がるので理解してほしい。

(参考資料:法隆寺Ⅱ・藤井慶介著、宮大工と歩く奈良の古寺・小川三夫著)

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